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「認知症ほのぼの見聞録」<令和4年6月版>

とある日の夜中の出来事です。

就寝中だった男性利用者のAさんが難しい顔をしてお部屋から出てみえました。

言葉で表現された訳ではありませんが、
表情や声掛けに対する反応、キッチン周りをウロウロと歩かれるAさんの癖のような行動から、
どうやらお腹が空いて眠れない様子。

普段と違う、静かで寂し気なフロアの雰囲気に不安を感じられているのか、
はたまた、ただ単に空腹がそうさせているのか、
とにかくその時のAさんは不穏な様子で、周囲への警戒心が強くなっているように見えました。

スタッフが、「何か食べますか?」と話しかけても、
ツンとそっぽを向いてまるで聞こえていないかの様な素振り。

好きなお菓子を渡してみても、全く受け取って頂ける様子はありません。

認知症の教科書通りの対応なら、「人を変えてみる。」「時間を変えて見る。」なのでしょうが、
真夜中、他にスタッフも居ない時間帯、「人を変えてみる。」事は難しく、
時間を変えようにも、Aさんは今まさにお腹を空かせてみえるのです。

さてどうしたものかと頭を抱えていると、
「どうしたの?私が話してみようか?」と、
たまたま起きてきた女性利用者のBさんが声を掛けてくださいました。

まさに天の助け(笑)

女神さまのように神々しくほほ笑むBさんに事情を説明すると、
うんうんと頷き、「これ、一緒に食べましょ。」とAさんに声を掛けてくださいました。

すると、あっけないほどにスンナリと受け取られるAさん💦
本当にさっきまでと同じ方ですかΣ(・ω・ノ)ノ!?と聞きたくなる程、
ニコニコとお気に入りのお菓子を食べ、満足そうにお部屋に戻られました(笑)。

その後ろ姿を、「なによ~Aさん!笑」と笑って見守るスタッフ。

もしかしたら、「どうしてなの?」と悲しくなってしまう場面なのかもしれません。
でも、スタッフは利用者さん同士が仲良く夜中におやつを食べている様子を嬉しそうに見守り、
次の日出社した他のスタッフに、その時の様子を面白おかしく教えてくれました。

認知症介護は千差万別。
その時々によっても変わります。

スタッフ自身、Aさんの事を大切に思っていて、
自分もBさんと同じくらいAさんと仲が良いと自負しているからこそ、
その状況を笑って流せるのだと思います♪

気負わずに、利用者さん本人と、周りの力を借りながら(*´▽`*)♪ですね。

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