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2023年11月07日
「認知症ほのぼの見聞録」 令和5年10月版
先日、仕事を終え、
帰ろうとしていた時の話です。
少し離れた場所から「〇〇さん!」と
利用者さんに呼び止められました。
側に行くと、
「帰るの?」「明日もくる?」と
声を掛けてくださったので、
そこから少しだけ世間話になりました。
すると、別れ際に、
「ありがとね。」と一言( *´艸`)
利用者さんは、「ありがとう」という言葉を
本当によく使われます。
こんな他愛もない世間話にも、
「ありがとう」と言ってくださる
利用者さんの笑顔を見て、
ふと、20年以上前の、
祖父とのやりとりを思い出しました。
入院生活が長くなり、
認知症の自覚症状が日毎に強くなっていた
祖父との思い出話です。
祖父が85歳になる一ヶ月ほど前、
「今年のプレゼントは何にする?
アルバイトしてるから、
なんでもいいよ(^∀^!」と胸を張る私に、
「今年の誕生日は、
あまり楽しみじゃないんだ。」と
祖父が答えました。
「食べ物でもいいよ。服でもいい!」と
矢継ぎ早に提案をしても上の空。
暫く私も黙っていると、
祖父は何かを思い出したように
突然こちらを振り向き、
「それでも、おじいちゃんの人生は、
幸せだったよ。」と力強く私の瞳を見つめ、
穏やかに笑いました。
暫くの沈黙の間、
祖父が何を考えていたのかは分かりません。
でも、きっと忘れてしまう前に、
伝えておこうと思ってくれたんだと思います。
間もなくして祖父は亡くなり、
祖父の言葉通り、
寂しいお誕生日を迎える事に
なってしまいました。
誰よりも看病や介護をしていた母に、
祖父のその言葉を伝えられたのは、
葬儀から少し経ってからの事でしたが、
「そんな事言ってた?
お母さんには何も言わなかったのに~(笑)」
と返す母の笑顔が、少し報われたような、
救われたような表情で、
祖父は、この言葉を、
母に伝えて欲しかったんだなと気付きました。
私は、知らないうちに、
重大な役目を担っていたようです(笑)
同時にそれは、「思いを伝える」こと、
「想いが伝わる」ことの大切さを、
私に教えてくれました。
認知症が故、次の瞬間には
忘れられてしまうかもしれない
「ありがとう」だからこそ、
感じたその瞬間、瞬間を大切に、
心を込めて伝えていこうと思います。
利用者の皆さん、
いつもありがとう♪